光輝(かがやき)

研究開発学校制度とは?​

研究開発学校制度は,教育実践の中から提起される諸課題や,学校教育に対する多様な要請に対応した新しい教育課程(カリキュラム)や指導方法を開発するため,学習指導要領等の国の基準によらない教育課程の編成・実施を認める制度です。​
(引用元:文部科学省HP https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kenkyu/index.htm)​

附属三原学校園で取り組まれてきた研究開発とは?​

広島大学附属三原学校園(幼稚園・小学校・中学校)では,現在の研究開発以前にも,平成24年度から平成29年度まで文部科学省研究開発学校の指定を受けています。社会的自立のための4つの基礎的・汎用的能力(自己理解・自己管理能力,人間関係形成・社会形成能力,課題対応能力,キャリアプランニング能力)と3つの態度・価値観(自律,共生,参画)が,子どもたちに育まれていることが検証されています。また,新学習指導要領で求められている教科横断的な資質・能力と各教科の関連性が明らかとなっています。​

なぜ,研究開発の取組が必要となるの?​

現代社会は2030年あたりをめどに,情勢が大きく変容し,その変化を予測することが困難だと言われています。このような社会は,「予測困難で不確実,複雑で曖昧」なものであると言われ,それぞれの頭文字を取って,「VUCA(Volateile,Uncertain,Complex,Ambiguous;ヴーカ)」と呼ばれています。また,技術革新により,一つの出来事が広範囲かつ複雑に伝播するような情報化社会が訪れることが予想されています。このような技術革新により,さらにグローバル化が進み,ボーダレスな社会へと変化する中で,多様な人々の交わりやそれに伴う社会,文化の交流など,これからは多様な価値にふれることの多い,多様性社会も到来すると考えられています。​

そのような社会が訪れることを想定すると,これまでの教育について見つめ直し,教育のあり方自体も変化する必要があると言えます。教えやすくテストしやすいことは,デジタル化,オートメーション化されやすく,これからの社会ではコンピューターやAIに取って代わられるものでもあります。これまでの教育のあり方では,学校で教師から与えられた課題だけをこなしているような姿も見られ,子どもたちが学校で習得した知識や技能を十分に生かしきれず,その結果,目まぐるしく変化する社会に対応できない可能性があります。そのため学校教育自体が,子どもたちに汎用性のある横断的な知識を身に付けさせ,めまぐるしく変化する社会を乗り切るための適応力を育む教育に転換していくことが求められるのではないかと本学校園では考え,研究開発取組を通して,子どもたちが社会に出た際に求められる力を育むことを目的に教育活動を展開しています。​

現在の研究開発の取組の特徴は?​

現在の研究開発には,平成30年から取り組んでいます。この研究開発の特徴は,小学校・中学校では総合的な学習の時間を廃止し,新領域「光輝(かがやき)」を設置しているところです。この新領域「光輝(かがやき)」は,道徳・特別活動の時間を包摂しており,自己を見つめ直し,自分自身の生き方について考えることができるようにしています。また各教科の1/4の時間を上限に関連させて実施もしており,領域や教科の枠を取り払うことで,子どもたちが,自由闊達,かつ多面的・多角的に物事をとらえ,自己を見つめ直し,自分で将来を描くために必要な資質・能力を身に付けていくことができるようなカリキュラムを編成しています。​

また,幼稚園では,小学校・中学校へ接続していく「光輝(かがやき)視点の保育」を実施しています。​

具体的にどんな力をつけたいの?​

 

本学校園では,新領域「光輝(かがやき)」や光輝(かがやき)視点の保育を通してつけたい資質・能力を独自に設定しています。しかし,これまでの研究開発の取組での課題も踏まえ,これを固定化してしまうことで,子どもたちの成長を止めてしまう影響もあると考えました。そこで「次元」というさらに大きな枠組みを設定し,資質・能力を関係づけて位置付けました。研究開始当初は,9つあった資質・能力ですが,研究を進める中で,「次元」という枠組みの中で整理し,現在では7つに再編しています。​

先述の通り,変化の大きい世の中に対応し得るためには,社会に出てからも生きて働く力を育成していかなければなりません。そのため,社会で求められている力との関係性も検討しながら,カリキュラムの推進に努めています。​